2026年の夏、テレビをつけるたびにそんなニュースを目にしませんか。
三重県桑名市が、連日「日本一暑い街」として天気予報やワイドショーの話題をさらっています。
私自身、最初にこのニュースを見たとき「桑名って東海・近畿だし海のすぐそばなのに、なぜそんなに暑くなるの?」と単純に疑問に思いました。
きっと同じように感じている方も多いはずです。
この記事では、気象予報士や気象庁の解説をもとに、桑名市が猛烈な暑さになる理由を、できるだけかみ砕いて説明していきます。
まず結論:2026年7月、桑名は観測史上最高の40.6℃を記録した
2026年7月22日、桑名市の最高気温は午後2時24分に40.6℃に達しました。
これは桑名の観測史上でもっとも高い記録で、その日の全国で最も高い気温でもありました。
前日の21日にも岐阜県多治見市などで40℃超えが観測されており、東海地方全体が2日連続、3日連続で「酷暑日」(最高気温40℃以上の日)に見舞われるという、かなり異例の暑さが続いていました。
ちなみにこの40.6℃という数字、歴代の全国最高気温ランキングでも19位に入る記録だそうです。桑名がいかに突出した暑さだったかがわかります。
気象庁の統計を見ても、桑名の日最高気温トップは今回の記録で更新されており、2位以下も2025年、2018年と、ここ数年に集中しています。
つまり桑名は「たまたま今年だけ暑かった」わけではなく、毎年のように全国トップクラスの暑さを記録する“猛暑の常連地点”になりつつあるのです。
なぜ桑名だけこんなに暑くなるのか?理由は2つ
気象予報士の解説によると、桑名の猛暑には大きく分けて2つの要因が重なっていると説明されています。
難しく聞こえるかもしれませんが、順番に見ていけば意外にシンプルです。
上空に「二重の高気圧」がふたをしている
太平洋高気圧に加えて、さらに上空にチベット高気圧などの別の高気圧が重なることがあります。
これは布団を1枚掛けているところに、もう1枚重ねているようなイメージで、地表付近の空気が押しつぶされて温度が上がりやすくなります
山を越えた乾いた熱風「フェーン現象」が吹き込む
西から吹く風が鈴鹿山脈や伊吹山、紀伊山地を越えて桑名方面へ吹き下ろしてきます。これがいわゆる「フェーン現象」です
この2つが同時に発生すると、桑名では気温が一気に跳ね上がるというわけです。
フェーン現象って結局どういう仕組み?
フェーン現象という言葉自体はニュースでよく聞きますが、仕組みを説明できる人は意外と少ないと思います。
簡単に言うと、山を越える空気の温度変化がポイントです。湿った空気が山を登るときは、100メートルにつきおよそ0.5℃気温が下がります。
ところが、山を越えて反対側に下りるときは、空気の水分が失われて乾いた状態になっているため、100メートルにつき約1℃も気温が上がってしまうのです。
つまり、上るときよりも下るときのほうが気温の変化が大きいため、山を越えた側の街では、もともとの気温よりもぐっと高い熱風が吹き込むことになります。
名市は、鈴鹿山脈や伊吹山、紀伊山地を越えてきたこの熱風がまっすぐ流れ込みやすい、濃尾平野の入り口という立地にあります。
地図で見ると分かりやすいのですが、まさに山からの熱風の通り道に位置しているのです。
「海がすぐ近くなのに涼しくならない」不思議
ここで多くの人が引っかかるポイントがあります。
桑名市は伊勢湾に面していて、海までかなり近い距離にあります。普通に考えれば、海風が吹いて多少は涼しくなりそうなものです。
実際、三重県内でも尾鷲市のような海沿いの地域では、日中に海から陸へ吹く「海風」の効果で気温上昇が抑えられる日もあります。
ところが桑名市の場合、西からのフェーン現象による熱風が強い日には、本来であれば涼しさを運んでくれるはずの海風が押し戻されてしまい、街まで届かないという現象が起きています。
つまり桑名市は「海に近いのに、海の恩恵を受けにくい」という、ちょっと不運な地理的条件が重なっているのです。
これに夜も気温が下がりきらない熱帯夜や、雲ひとつない強い日差しが加わることで、危険な暑さに拍車がかかります。
2025年もすでに40℃超え、桑名の猛暑は「毎年恒例」になりつつある
「今年がたまたま暑かっただけでは?」と思う方もいるかもしれませんが、実は桑名の猛暑は2026年に始まった話ではありません。
2025年8月30日にも桑名市で40.5度を観測し、当時も観測史上1位を更新する記録として大きく報じられました。
このときも要因として挙げられていたのがやはりフェーン現象で、日本海側からの西風が太平洋高気圧の縁を回るようにして紀伊山地を越え、桑名方面に流れ込んだと説明されています。
さらにさかのぼると、2018年7月23日にも39.7℃を記録しています。
こうして見ると、桑名は数年おきどころか、ほぼ毎年のように全国トップクラスの暑さを記録する土地になっていることがわかります。
桑名の猛暑と熱中症、実際どれくらい危険なのか
2026年7月22日の猛暑では、全国297地点で「猛暑日」(最高気温35℃以上)となり、東京消防庁には同日午後3時までに176人が熱中症の疑いで搬送されたと報じられています。
桑名だけの話ではなく、東海地方全体、さらには全国規模で熱中症リスクが高まっていたことがわかります。
気象庁も、屋外での活動をできるだけ控え、こまめな水分補給とエアコンの活用を呼びかけています。
桑名市のように40℃を超える酷暑日が発生する地域では、日中の外出はできる限り避け、涼しい室内で過ごすことが何より大切です。
ちなみに現地の中継映像を見ると、桑名駅前でも「息苦しくなるような危険な暑さ」とレポーターが表現するほどで、実際に街を歩く人が日傘や日陰を求めて移動する様子も報じられていました。
ナガシマスパーランドのプールには、この暑さから逃れようと多くの人が訪れていたそうです。
アメダスの数値と体感温度にはズレがあることも知っておきたい
もうひとつ知っておくと面白いのが、ニュースで報じられる気温と、実際に体感する暑さには差があるという点です。
気象予報士によると、アメダスは風通しのよい場所や日陰など、一定の観測条件のもとで気温を測定しているのとのこと。
このため、コンクリートやアスファルトの上で実際に感じる暑さは、発表される数字よりもさらに厳しいことがあるそうです。
実際、桑名の2026年7月21日のアメダス実測データでは、日最高気温37.4℃(14時40分)を記録していますが、日によって体感との差が出ることも念頭に置いておくとよさそうです。
まとめ:桑名市はなぜ暑い?最高気温が40°Cを超える理由
桑名市が記録的に暑いのは、決して偶然ではありません。
上空に重なる「二重の高気圧」による圧縮効果と、鈴鹿山脈や伊吹山、紀伊山地を越えて吹き下ろす「フェーン現象」という2つの気象要因が組み合わさることで、あの40℃超えが生まれています。
さらに、伊勢湾に面していながら海風の冷却効果を受けにくいという、地形上のちょっと不運な条件も重なっています。
2025年、2026年と連続で観測記録を更新していることを考えると、桑名は今後も夏になるたびに「日本一暑い街」として話題になる可能性が高いでしょう。
2027年以降、この暑さがどのようになっていくのか、今後ますます注目が集りそうです。
【参考にした情報ソース・参照元】
- ウェザーニュース:https://weathernews.jp/
- tenki.jp(日本気象協会):https://tenki.jp/
- FNNプライムオンライン:https://www.fnn.jp/
- 日本テレビNEWS:https://news.ntv.co.jp/
- note(救急医による解説記事):https://note.com/
- ナッツクラブ(桑名地域情報ブログ):https://nuts-club.com/
- Yahoo!ニュース:https://news.yahoo.co.jp/
- tabizine:https://tabizine.jp/
- 気象庁 過去の気象データ検索:https://www.data.jma.go.jp/
- 東海テレビ「ニュースONE」:https://www.tokai-tv.com/
- メ~テレ:https://www.nagoyatv.com/
