富山県は北アルプスを含む豊かな森林に恵まれている一方で、熊(ツキノワグマ)の生息地としても知られています。
2025年は特にクマの出没が多い年となっており、9月下旬から11月にかけて県内全域でクマの目撃情報が相次いでいます。
富山市を中心に住宅地への出没も増加し、人身被害も発生している状況です。
本記事では、
富山県の熊(クマ)生息地の分布状況、最新の目撃・出没情報、安全対策
などについて詳しく解説します。
富山県の熊(ツキノワグマ)の生息地とは

富山県に生息する熊(クマ)は、ツキノワグマです。
令和元年度の調査では、県内の推定個体数は約1,460頭と算出されており、北アルプスを中心とした山岳地帯に広く分布。
富山県内のツキノワグマは、地域個体群として「北アルプス地域個体群」と「白山・奥美濃地域個体群」に分類されています。
ブナを主体とする天然林が広がる標高300~1,600メートルの山地帯がクマにとって良好な生息域となっています。
とくに立山連峰、黒部峡谷周辺、飛騨山地に続く南部の山々がクマの生息の中心地です。
さらに、県東部の朝日町から県西部の氷見市まで広くクマの生息が確認されていることから、県内の里山地域にもクマが生息していると考えられています。
これは、クマが山奥だけでなく、人間の生活圏に比較的近い地域にも分布していることを意味します。
富山県における2025年の熊(クマ)目撃・出没情報の状況
2025年度のクマ出没は、統計開始以来、最も多くなっています。
10月27日までの累計出没件数は605件に達し、前年度通年の出没件数333件をはるかに上回っています。
とくに10月だけで329件の出没が報告されており、これは2023年度の同時期の出没件数257件を大幅に超える数字です。
■出没の時期的特徴:
- 9月下旬から出没が急増
- 10月が最もピークとなる
- 11月初旬も引き続き多数の出没情報
- 県自然博物園ねいの里の専門家は「11月末までの警戒が必要」と指摘
■地域別出没状況:
富山市内での出没が特に目立ち、富山市の城生(きょうう)地区、八尾町、婦中町、山田地区など複数地点で同時多発的にクマが目撃されています。
11月7日の時点でも、松野地区で柿の木への爪痕とクマの糞が確認され、上滝地区で足跡が発見されるなど、出没は依然として続いています。
富山県における2025年10月の熊(クマ)による人身被害事例
富山県内では、10月に3件のクマによる人身被害が発生しています。
■:10月19日 立山町
80代女性がごみ出しをしていた際、クマに後ろから突き飛ばされました。
■:10月24日 立山町西大森地内
70代女性が自宅の庭で剪定作業中にクマに襲われ、顔面を骨折する大ケガを負いました。
■:10月26日 南砺市山本地内
70代女性が親戚宅の柿の木の実を採っていたところ、クマに襲われ右前腕および右側頭部に咬傷を負いました。
これらの人身被害の発生を受け、富山県は10月26日に「ツキノワグマ出没警報(第5報)」を発令し、県内全域での警戒強化を呼びかけています。
富山県の熊(クマ)の目撃・痕跡情報の確認方法
富山県では、リアルタイムでクマの出没情報を提供しています。
「ツキノワグマ出没情報地図【クマっぷ】」を利用することで、県内全域のクマ目撃・痕跡情報を地図上で確認できます。
このシステムは市役所・町村役場を通じて県へ報告のあった情報をプロットしており、平成26年度からの情報が蓄積されています。
通勤・通学ルートや行事開催予定箇所のクマ出没情報を事前に確認することで、適切な警戒態勢を整えることができます。
富山市では随時、最新のクマ出没情報を公開しており、以下のようなクマの痕跡が報告されています
- クマ本体の目撃
- 柿の木への爪痕・枝折れ
- クマの足跡
- クマの糞
- 自動車との接触事案
富山県でも熊(クマ)が人間の生活圏に近づいている理由
2025年のクマ大量出没の主要な理由は、自然界の食料不足です。
富山県自然博物園ねいの里の専門家によると、今年は標高800メートルを超える場所のブナの実りが悪いため、クマが低い標高の地域にあるドングリやコラ(コナラ)、そして柿の実を求めて、人里に出没しているとされています。
クマは秋期に脂肪を蓄える「食いだめ」状態にあり、エネルギー源となる食料を求めて必死に活動しています。
特に庭先の柿の木は、クマにとって格好の食料源であり、これが住宅地への出没増加の直接的な原因となっています。
標高別・地域別の熊(クマ)出没傾向
■標高による出没の違い
通常年では、クマの出没は標高200メートルより高い地域に多く見られます。
しかし、大量出没年となると、標高100メートル以下の平野部、さらには海岸線近くまでクマが出没するようになります。
2025年は大量出没年であるため、これまでクマが出没しなかった低標高の住宅地や商業地でもクマが目撃される可能性があります。
■季節による行動の違い
- 春季(5月):標高200メートル以上の山地での出没が中心
- 秋季(9月~11月):標高100メートル以下の農地・人家周辺での出没が急増
秋期は果実の収穫時期と重なるため、クマが人間の生活圏に最も近づく危険な季節です。
熊(クマ)の行動パターンと時間帯
時間帯による注意の必要性:
クマによる人身被害は、早朝の午前6時~10時に多く発生する傾向があります。
特に朝の農作業中の被害が顕著です。
しかし、2025年は日中(午後)にもクマの行動が確認されており、24時間での注意が必要です。
- 朝方(午前6時~10時):特に危険な時間帯
- 夕方(午後4時~日没):活動が活発になる時間帯
- 夜間(夜中~早朝):AIカメラによる目撃が増加
富山県の熊(クマ)出没警報と警戒体制
富山県は、クマによる人身被害が発生した際に「ツキノワグマ出没警報」を段階的に発令しています。
2025年10月26日に発令された「第5報」では、以下のことが呼びかけられています:
■必須の安全対策:
- 朝夕夜間の不要不急の外出を控える
- 誘引物(特にカキの木)の除去と生ゴミの適切な処分
- 出没情報の確認と危険な場所への接近を避ける
■農作業時の重要な注意点:
- 必ず複数人で作業を行う(1人での作業は厳禁)
- ヘルメットなど防御できるものを着用
- 短時間で作業を済ませる
特に柿の実を採る際の被害が多発しているため、県は柿の木の除去や適切な管理を強調しています。
熊(クマ)との遭遇時の対応方法
もしもクマに遭遇した場合は、以下の対応が重要です:
■クマに出会ったときの正しい行動:
- あわてて逃げない
- クマをじっと見ながら、背中を見せず静かに身を引く
- ゆっくりと距離を取る
- 不用意に音を立てない
■クマを見かけた後の報告:
- 直ちに警察署(110番)または地域の警察ボックスへ通報
- 市区町村役場の農地林務課・農政課へ報告
- 通報時は目撃時刻・場所・クマの行動・目撃者名など詳細を伝える
熊(クマ)対策
住宅地でのクマ対策
人里周辺へのクマ出没を防ぐための方法:
- 生ゴミの管理:生ゴミや不要な農作物を放置しない
- 柿などの果実管理:庭先の柿や栗は全て収穫し、未収穫作物を放置しない
- 防除設備の設置:果樹園や養蜂場には電気柵などの防除設備を設置
- 環境整備:クマがひそみやすいヤブや草むらを適切に刈り払い、見通しをよくする
山林での行動時の安全対策
登山やハイキング、山菜採り時の注意点:
- クマに自分の存在を知らせる:クマ鈴、携帯ラジオを鳴らしながら山に入る
- 複数人での行動:1人での山林活動は避ける
- 見通しの悪い場所の回避:笹薮など見通しのきかない場所には不用意に入り込まない
- 悪天候時の注意:雨天や夕暮れ時は視認しにくいため特に注意が必要
- 川や沢の周辺:水音によってクマの接近に気付きにくいため要注意
富山県のクマ捕獲と個体数管理
富山県ツキノワグマ管理計画では、生息するクマを持続的に管理するため、年間捕獲上限数を設定しています。
2024年度の捕獲上限数:170頭
2025年10月28日時点で、既に134頭のクマが捕獲されており、上限に迫る勢いです。
県は必要に応じて捕獲上限数を柔軟に調整する方針を示しています。
捕獲には狩猟によるものと、個体数調整(被害防除目的の捕獲)が含まれます。
クマ出没情報の公開情報源
富山県公式情報:
- 富山県自然保護課公式ウェブサイト
- ツキノワグマ出没情報地図【クマっぷ】(Google Mapsベース)
- 富山市森林政策課・農地林務課
まとめ:【2025最新】富山県の熊(クマ)生息地と目撃・出没情報
2025年の富山県は、統計開始以来、最もクマの出没が多い年となっています。
9月下旬から11月初旬にかけて、県内全域で前年度の年間出没件数を大幅に上回る600件以上のクマ出没が報告されており、住宅地への出没も増加しています。
このような状況下での安全対策は、もはや山里だけの問題ではなく、市街地に住む全ての住民にとって重要な課題です。
県は2025年11月末までの警戒態勢継続を呼びかけており、最新のクマ出没情報を随時確認し、「ツキノワグマ出没情報地図【クマっぷ】」などの公開情報を有効活用することが、より安全な生活環境を守る第一歩となるでしょう。
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