東京の火葬待ちが深刻:亡くなってから火葬までの日数が長くなっている問題を考える

東京の火葬待ちが深刻:亡くなってから火葬までの日数が長くなっている問題を考える
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東京都で亡くなった後、故人を火葬するまでの日数が長期化する「火葬待ち」が深刻な社会問題となっています。

かつては死亡から2~3日後に行われていた火葬が、現在では4~5日待つのが当たり前となり、中には1週間から10日以上待機を余儀なくされるケースも珍しくない状態が続いているのです。

この記事では、東京都における火葬待ちの実態、発生する理由、遺族への影響、そして今後の見通しについて詳しく解説します。

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目次

東京における火葬待ち問題の現状

東京23区内で火葬待ちが常態化しており、その深刻さが増しています。

大手葬祭企業の調査によると、東京では郊外の南多磨斎場や瑞穂斎場などで比較的待ちが長くなっており、4~5日は当たり前という状況とのことです。

熱中症やヒートショックなどで死亡者が増える夏季や冬季、火葬場が休業となる年末年始では1週間程度待つケースが多くなっています。

さらに、昨冬には東京都内で15日かかった事例も報告されており、火葬待ちの日数が年々延伸する傾向が見られます。

火葬を待つ間、遺族は葬儀の日程を決められず、ご遺体の安置場所と費用の心配をしなければならない状況に置かれています。

故人を亡くした悲しみの中で、さらなる心理的・経済的負担を強いられている状況は、決して看過できない社会課題です。

東京都で火葬待ちが発生する主な原因

1. 高齢化に伴う死亡者数の急増

火葬待ちが深刻化する最大の要因は、高齢化に伴う死亡者数の増加です。

厚生労働省の統計によると、2022年の死亡者数は約157万人で、これは1989年の約2倍に相当します。

東京都内では2024年に年間約13万9,661人が亡くなっており、2015年と比較しても死亡者数が24.3%増加。

一方で、出生者数は25.8%減少しており、少子高齢化がさらに加速する中で、火葬需要は確実に増加し続けています。

2. 火葬場の深刻な不足

東京23区内には公営と民営を合わせて9箇所の火葬場しかありません。

そのうち公営火葬場は臨海斎場と瑞江葬儀所の2箇所のみで、民営の火葬場が7箇所です。

火葬炉の総数は79基ですが、東京23区の人口が約920万人であることを考えると、深刻な施設不足状態にあります。

比較として、横浜市の人口は約370万人で公営火葬場は4箇所、大阪市の人口は約270万人で公営火葬場は5箇所。東京23区の火葬場不足の深刻さが一目瞭然です。

現在、民間の火葬場が東京都の火葬需要の多くをカバーしている状態が続いており、寡占状態による問題も指摘されています。

3. 火葬炉の稼働能力に対する超過需要

東京都内の年間火葬能力は約229,500件で、1日あたり約765件の火葬ができるとされています。

しかし、実際の死亡者数と比較すると、その達成率は2023年時点で約60%、2030年には約66%、2040年には約80%に達する予測がされており、深刻な逼迫状態が近づいています。

一体の遺体を火葬するのに1時間強を要するため、火葬炉の数に対して処理能力に限界があります。

繁忙期には処理能力をはるかに超える火葬需要が集中し、火葬待ちが発生する構造的な問題が存在しています。

4. 火葬場の新設が困難な構造的課題

火葬場の新設が進まない理由は多岐に渡ります。

第一に、東京などの大都市では土地が限られており、用地確保が極めて困難です。土地価格の高騰も大きなハードルとなっています。

第二に、最新技術で煙や臭いが大幅に軽減されていても、精神的な抵抗から住民の反対運動が起こることが多くあります。

第三に、火葬炉の導入や施設の整備には莫大な費用がかかり、維持管理や人件費も高額です。

建設から完成までに15~20年かかるとも言われており、新規参入に慎重にならざるを得ません。

加えて、許認可プロセスの複雑さ、厳しい環境基準、地域の同意など、多くの障害が存在します。

遺族に対する具体的な負担

1. 経済的負担の増大

火葬待ちが長引くと、ご遺体の安置費用がかさみます。

安置料金は通常1日あたり10,000円~30,000円程度で、ドライアイスの料金は1日あたり5,000円~10,000円が相場です。

実際の負担を計算してみると、火葬待ちが予定より4日延びた場合、追加費用は60,000円~80,000円となります。

10日延びた場合は、150,000円~200,000円の追加費用が発生。

これは当初の葬儀見積もりに含まれていない予期せぬ出費となり、遺族にとって大きな経済的負担となります。

2. 心理的・精神的な負担

火葬待ちが長期化することで、遺族の精神的負担は大きくなります。

故人との最後のお別れが遅れることで、悲しみの整理や心の区切りが難しくなる可能性があります。

また、ご遺体の状態を心配する気持ちも、期間が長引くにつれて増していきます。

特に夏場は遺体の腐敗が進みやすく、遺族は「きれいなまま送り出してあげたかった」という後悔を感じることもあります。

実際に、火葬までの5日間、ひつぎを自宅に置かなければならず、化粧で傷みを隠して送り出した遺族の証言も報告されています。

3. 遺体安置施設不足による追加問題

火葬待ちの長期化に伴い、遺体安置施設そのものも不足しています。

全国の27%の事業者が安置施設の不足を指摘しており、特に東京や横浜、相模原、大阪、神戸といった都市部で顕著です。

現在の状況では、葬儀社の安置施設に余裕がなく、遺族が自宅にご遺体を安置せざるを得ないケースが増えています。

住宅事情が悪い都市部では、自宅安置が難しい遺族も多く、追加の安置施設利用を余儀なくされています。

火葬料金の高騰との関連性

東京23区内の民営火葬場の料金は、地方の公営火葬場に比べて極めて高額です。

さらに、火葬需要の増加に伴い、料金の値上げを危惧する報道も出始めています。

民営火葬場が公営火葬場に比べて高額なため、利用者が公営火葬場に集中し、混雑が常態化しています。

結果として、火葬待ちが発生し、さらに追加の安置費用が発生するという悪循環が生じているのです。

2040年問題と将来の見通し

1. 死亡者数のピークと火葬能力の限界

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2040年に日本の死亡者数は年間168万人となり、ピークを迎えると予測されています。

東京都に限ると、現在の年間死亡者数約139,661人から、2035年頃には最大となり、その後も2045年にかけて高い水準が続く見込みです。

この時期、東京の火葬需要は最大となり、待ち時間が現在の1週間以上へとさらに延びることが予想されます。

公営火葬場では現在の7日から、2035年頃には10日から14日程度に延びる可能性があるでしょう。

さらに、待ち時間が現在の1.5倍から2倍程度に増加する可能性もあります。

2. 長期的な社会問題としての位置付け

現在のところ、2045年以降も火葬場の供給不足は解消されない見込みです。

待ち時間の長期化が続く可能性があります。

人口が2015年レベルを下回らない限り、供給不足が解消される見込みは薄く、積極的な対策がなければ、待ち時間と費用の負担は増す一方となるでしょう。

東京23区内の火葬場待ち問題は、少なくとも2035年頃までは人口増加に伴い深刻化し続け、その後も2045年にかけて長期的な社会問題として残る可能性が高そうです。

東京の火葬待ち問題に対する対策と試み

1. 火葬炉の増設と施設の拡充

一部の自治体では火葬炉の増設に取り組んでいます。

例えば、東京23区の臨海斎場では火葬炉を10基増設し、保冷庫20庫、火葬待合室7室の増設が計画されています。

しかし、こうした対応は根本的な解決にはなりません。

最も根本的な解決策は、火葬場の数を増やすことです。

特に人口密度の高い東京都内では、新たな火葬場の建設や既存施設の拡張が急務となります

また、火葬場の稼働効率を高めるために、最新の火葬技術を導入し、火葬の処理速度を上げることも必要です。

2. 葬儀形式の多様化と火葬需要の分散

火葬の需要を分散させるために、葬儀のタイミングや形式を見直すことも有効です。

例えば、平日や火葬場が比較的空いている時間帯に火葬を行うよう調整したりなどが挙げられるでしょう。

伝統的な葬儀形式にとらわれず、家族葬や直葬といったシンプルな形式を選択することで、待ち日数の緩和を図ることができます。

3. 政策的対応と規制の必要性

火葬場の料金を実効性のある形で規制するには、墓埋法の改正が必要と指摘する声も出ています。

公営火葬場の23区内への新設を含め、国会議員や区議と連携して取り組む必要があります。

また、火葬炉や遺体処理設備の技術革新を進め、より迅速で効率的な処理が可能な施設の導入も求められています。

自動化技術を組み込んだ高性能施設は、処理能力の向上に寄与することになります。

遺族が今できる準備と対応策

火葬待ちが常態化する現在、遺族ができる準備と対応策を知ることは重要です。

事前に火葬場の予約状況を確認し、希望日に予約が取れない可能性を想定しておくことが必要です。

また、葬儀社選びの段階で、火葬待ちが発生した際の安置施設の充実状況を確認することも大切です。

さらに、事前相談を通じて、火葬待ちの場合でも安心してご遺体をお預けできる施設を確認しておくことが推奨されます。

特に都市部に住む方は、火葬場の予約が簡単にできなくなる状況を予め理解し、柔軟な対応を心がけることが重要です。

まとめ:東京の火葬待ちが深刻:亡くなってから火葬までの日数長期化問題

東京都における火葬待ちの問題の深刻さは、単なる火葬場不足だけの問題ではありません。

少子高齢化による死亡者数の急増、施設の構造的不足、経済的・心理的な遺族への負担、そして料金の高騰といった複合的な要因から生じているのです。

火葬待ち期間の長期化により、遺族は予期せぬ経済的負担と心理的苦痛を強いられています。

2040年に死亡者数がピークを迎える中、東京23区内における火葬待ちはさらに深刻化する見通しです。

最低でも10日から14日程度の待機期間が予想される時代が来るかもしれません。

根本的な対策として、火葬場の新設・増設、葬儀形式の多様化、墓埋法の改正による料金規制、そして技術革新による処理能力の向上が急務です。

一方、国民一人ひとりも、将来を見据えた準備と心構えが必要な時代になっています。

火葬待ち問題は、日本社会が直面する「多死社会」への対応を迫る、避けて通れない課題となっているのです。

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