愛らしい外見で世界中から愛されるジャイアントパンダですが、実際のところ人間を襲うことはあるのでしょうか。
SNSや動画サイトでは人懐っこいパンダの姿を見かける一方で、中国の動物園でパンダが飼育員を襲ったというニュースも時折報じられます。
この記事では、パンダの本来の習性や性格、過去に起きた具体的な事例を詳しく調査し「パンダは人を襲うのか、襲わないのか」という疑問に科学的根拠をもって答えます。
クマ科の動物でありながら竹を主食とするパンダの真の姿と、人間との安全な共存について詳しく見ていきましょう。
パンダの基本的な性格と習性

ジャイアントパンダは基本的に温厚で穏やかな性格を持つ動物です。
竹を主食とするため、食物を巡って他の動物と争う必要がなく、攻撃性は低いとされています。
物音などの異変を察知すると逃げたり隠れたりする、おとなしい動物としての特徴を持ちます。
しかし、パンダはクマ科の動物であり、体重が100kgを超える個体も珍しくありません。
モフモフの毛皮に包まれたその体には、屈強な筋肉が詰まっているのが実情です。
竹を噛み砕くアゴの力はライオンに匹敵するほど強力で、鋭い爪と発達した顎は充分な殺傷能力を持っています。
パンダが人を襲う実際の事例
中国動物園での代表的な事件
最も有名なのは、北京動物園のパンダ「古古(グーグー)」による一連の襲撃事件です。
グーグーは2006年から2009年にかけて計3回人間を襲った記録があります。
2006年9月の事件では、酔っぱらった河南省の出稼ぎ労働者がパンダを抱きしめようと囲いに侵入し、脚の肉を大きく食いちぎられる重傷を負いました。
2007年10月の事件では、15歳の少年が囲いに飛び込んだところ、グーグーが脚にかみつき、少年の脚の傷は骨まで達していたとされています。
2009年1月の事件では、息子のおもちゃを拾おうと囲いに入った男性が両足に思い切りかみつかれ、病院に搬送されました。
最近の事例
2024年にも中国重慶動物園で複数の事件が発生しています。
4月には飼育員が餌を与える際にパンダ2頭に飛びかかられ、9月にはメスのパンダ「丁丁(ディンディン)」が前足をドアに挟まれた直後に飼育員を襲う事件が起きました。
パンダの攻撃事例に関する統計データ
中国林業局の統計によると、パンダが人を攻撃する事例は20年間で18件と非常に稀です。
しかし、専門家によると2000年から2024年の間に記録された飼育下での襲撃事例18件中14件(約78%)が繁殖期に集中しており、これは偶然ではなく生物学的要因に基づく行動パターンと言えるでしょう。
攻撃事例の94%が飼育下で発生しており、これは限られた空間での人間とパンダの距離感の問題が主因と考えられています。
パンダが攻撃的になる具体的な理由
繁殖期のホルモン変化
パンダのテストステロン値は繁殖期に通常時の3.8倍まで上昇することが北京動物園の2025年血液検査データから判明しています。
この急激なホルモン変化が、通常は穏やかな気質を一時的に変化させる主要因となります。
繁殖期に狂暴化する習性は、パンダに限らず様々な生物に見られるものです。
防衛本能の発動
パンダが攻撃的になる場合は主に以下の状況です
専門家によると、パンダは「脅威を感じるなど特殊な状況で非常に攻撃的に変わることもありうる」ため注意が必要とされています。
人間側の問題行動
過去の事例を分析すると、多くの場合人間の側に非があったことがわかります。
無断で囲いに侵入したり、パンダの防衛本能を刺激したりする行為が攻撃の引き金となっています。
野生パンダと人間の遭遇について
野生のパンダと人間の遭遇は極めて稀です。
パンダが生息しているのは標高の高い山奥で、野生での無差別攻撃事例は過去50年間で報告されていません。
2015年に中国の甘粛省で村に迷い込んだ野生のパンダが人間を襲った事例がありますが、このようなケースは極めて稀とされています。
野生パンダは基本的に人間との接触を避ける傾向にあり、遭遇した場合でも穏やかな反応を示すことが多いようです。
パンダの人懐っこさの科学的背景
飼育環境での人間慣れ
動物園のパンダが人懐っこく見える理由は、飼育下での人間との関わりに慣れていることが大きな要因です。
中国野生動物保護協会の調査によると、飼育下のパンダの約75%が人間の接近に対して穏やかな反応を示すという結果が出ています。
個体差のある性格
成都パンダ繁育研究基地が南洋理工大学と共同開発したAI顔認証システムにより、12万枚以上の画像データから個体ごとの性格特性を分析した結果、パンダには明確な個体差があることが判明しました。
パンダの性格は「大胆—慎重」「活発—静寂」「社交的—独立的」といった軸で評価可能な多様性を持っています。
これは「すべてのパンダが穏やか」ではないことも意味しています。
現在のパンダ保護状況と安全対策
生息数の回復
中国では2013年末までに野生ジャイアントパンダの生息数が1864頭に達し、第3回調査時と比べて16.8%増加しました。
飼育下のパンダも現在は10年前の2倍にあたる約730頭まで増加しています。
動物園での安全管理
北京動物園はパンダの視界を遮らないようにするためフェンスの高さを低くしていましたが、相次ぐ事件を受けて安全対策の見直しが進められています。
重慶動物園も「直ちに安全点検を行い、再発防止の対策を取った」とコメントしています。
パンダと人間の適切な距離感
安全な観察方法
パンダは野生動物であることを忘れず、適切な距離を保つことが重要です。
動物園では、設置された柵や囲いを越えることは絶対に避けなくてはなりません。
パンダの鋭い爪と発達した顎は充分な殺傷能力をもっているため、安易な接触は危険を伴います。
専門家による管理の重要性
野生に返すため1頭を訓練させるのに3年前後の時間がかかり、1頭あたり年間100万元(約2200万円)以上の費用がかかるそうです。
パンダの管理には高度な専門知識と大きな経費が必要であることがわかります。
まとめ:パンダは人を襲う?襲わない?
パンダは基本的に温厚で穏やかな性格を持つ動物ですが、完全に無害な存在ではありません。
過去20年間で18件の攻撃事例があり、その多くは繁殖期のホルモン変化や人間の不適切な行動が原因となっています。
大切なのは、適切な距離感を保つこと、パンダが野生動物であることを理解することです。
動物園での観察では安全対策を守り、野生での遭遇は極めて稀ですが万一の場合は刺激しないよう注意が必要です。
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