トロント・ブルージェイズは2005年以降、MLB唯一のカナダを本拠地とするチームです。
「メジャーリーグはアメリカのプロ野球リーグなのに、なぜカナダのチームが参加できるの?」と疑問に思ったことはありませんか。
実は、MLBは正確には「北米リーグ」として運営されており、アメリカだけのリーグではないのです。
本記事では、ブルージェイズがカナダにありながらMLBに参加できる背景、歴史的経緯、そして北米スポーツの特殊な構造について、最新情報を交えて詳しく解説します。
ブルージェイズがMLB(メジャーリーグベースボール)に参加できる理由
MLBは「北米リーグ」としての性格を持つ
メジャーリーグベースボール(MLB)は、アメリカ合衆国のプロ野球リーグというイメージが強いですが、実際には国家単位のリーグではなく、北米全体を市場としたプロスポーツリーグとして運営されています。
現在、MLB30球団のうち、29球団がアメリカ合衆国、1球団がカナダに本拠地を置いています。
アメリカとカナダは、経済圏やメディア市場、文化的背景が非常に近いという特徴があります。
このため、MLBをはじめとする北米のプロスポーツリーグは、国境を越えて両国を同じマーケットとして取り込んでいるのです。
地理的・経済的優位性
ブルージェイズの本拠地・トロントはカナダ最大の都市であり、経済規模はアメリカの全都市と比較しても4番目にランクインするほどの大都市です。
人口、企業数、経済規模ともに国内最大の市場を持つトロントは、MLBチームを支えるだけの十分な基盤を備えています。
また、地理的にもトロントはアメリカとの移動が容易で、MLB東地区のボストン、ニューヨーク、ボルチモアなどの主要都市と近接しており、リーグ構造に溶け込みやすい立地条件にあります。
ブルージェイズ誕生の歴史的背景
1977年のエクスパンション(拡張)計画
トロント・ブルージェイズは、1977年のMLBエクスパンション(球団拡張)によって、シアトル・マリナーズとともに誕生しました。
エクスパンションとは、リーグがチーム数を増やし、新たな地域に球団を配置することで、新しい市場を開拓し、収益を拡大する戦略です。
当時、MLBは新たな地域への進出を模索しており、人口・経済力・野球文化が根付いていたトロントが選ばれました。
チーム名の「ブルージェイズ」は、オンタリオ州の州鳥である「Blue Jay(アオカケス)」に由来しており、球団ロゴにも採用されています。
カナダ初のMLB球団はモントリオール・エクスポズ
実は、ブルージェイズよりも前に、1969年にモントリオール・エクスポズというカナダ初のMLB球団が誕生していました。
エクスポズは、ケベック州モントリオールを本拠地とし、1967年のモントリオール万国博覧会(Expo 67)の成功を背景に設立された球団です。
チーム名も万博(Expo)に由来しています。
しかし、エクスポズは経営難や観客動員数の減少に悩まされ、2005年にワシントンD.C.に移転し、現在のワシントン・ナショナルズとなりました。
これにより、ブルージェイズがカナダ唯一のMLB球団となっているのです。(※2025年現在)
北米スポーツリーグの「国境を越えた構造」
他のプロスポーツも同じ構造
MLB以外にも、NHL(アイスホッケー)、NBA(バスケットボール)、MLS(サッカー)といった北米のプロスポーツリーグは、アメリカとカナダの両国にチームを持つ「北米型リーグ」として運営されています。
中でも、NHLはカナダ発祥のスポーツということもあり、31チーム中7チームがカナダに本拠地を構えています。
NBAにはトロント・ラプターズがカナダ唯一のチームとして存在し、2019年にはNBAファイナルを制覇し、カナダ中が熱狂しました。
このように、プロスポーツの世界ではカナダとアメリカが一体化しており、国境を超えてファンや選手が交流できる点が、北米ならではの特長となっています。
カナダ国歌「オー・カナダ」の演奏
ブルージェイズの試合では、アメリカ国歌に加えてカナダ国歌「オー・カナダ(O Canada)」も演奏されます。
これは、ブルージェイズがカナダ国全体を背負って戦うチームであることの象徴です。
MLBのオールスターゲームなど、アメリカで開催される試合でも、ブルージェイズの選手が出場する際にはカナダ国歌が演奏されることがあり、カナダ野球の存在感を示しています。
ブルージェイズの輝かしい成績
1992年・1993年ワールドシリーズ連覇
ブルージェイズは、1992年に球団史上初のワールドシリーズ優勝を飾りました。
これは、アメリカ合衆国以外の国の球団による初のワールドシリーズ優勝で、カナダにおける野球人気を強固なものとしました。
さらに、1993年にもワールドシリーズ優勝を成し遂げ連覇を達成しています。
1993年の第6戦では、ジョー・カーターが9回裏に逆転サヨナラ3ランホームランを放ち、33年ぶりのワールドシリーズ優勝決定サヨナラ本塁打となりました。
この瞬間は、カナダのスポーツ史における15大名場面の第3位に選ばれています。
2025年、32年ぶりのワールドシリーズ進出
2025年、ブルージェイズは連覇を達成した1993年以来、32年ぶり3度目のワールドシリーズ進出を果たしました。
アメリカンリーグ優勝決定シリーズ第7戦では、36歳のジョージ・スプリンガーが逆転3ランホームランを放ち、マリナーズを破りました。
ワールドシリーズ2025では、2024年に続いての連覇を狙うロサンゼルス・ドジャースと対戦し、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希といった日本人選手との対決も注目されています。
ブルージェイズの本拠地「ロジャース・センター」

ブルージェイズの本拠地は、トロントにあるロジャース・センターです。
このスタジアムは、世界初の可動式屋根付きドーム球場として1989年に開場し、当初は「スカイドーム」という名称で親しまれていました。
2005年にカナダの大手通信企業ロジャーズ・コミュニケーションズが命名権を取得し、現在の名称となりました。
ロジャース・センターは、トロントのダウンタウン中心部に位置し、ユニオン駅から徒歩圏内というアクセス抜群の立地にあります。
さらに、トロントのシンボルであるCNタワーや、NBA・NHLのアリーナであるスコシアバンクアリーナも徒歩圏内にあり、スポーツとエンターテイメントの中心地となっています。
カナダにおける野球(ベースボール)の人気について
カナダで最も人気のあるスポーツはアイスホッケーであり、野球はその次に位置づけられています。
しかし、近年ではブルージェイズの活躍により、カナダ全土で野球人気が高まっています。
2015年のプレーオフ進出時には、トロントが「野球の街」と化し、オフの日でもブルージェイズのユニフォームを着た人々で街が青く染まりました。
カナダ専門チャンネル「Sportsnet」による全国放送や、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でのカナダ代表選手の活躍も影響し、カナダ=野球後進国というイメージは過去のものとなっています。
まとめ:ブルージェイズの存在が示す北米スポーツの一体性
トロント・ブルージェイズがカナダに本拠地を置きながらMLBに参加できる理由は、MLBが国家単位ではなく「北米リーグ」として運営されていることにありました。
アメリカとカナダは経済圏や文化が近く、地理的にも移動が容易なため、国境を越えて同じマーケットとして統合されています。
1977年のエクスパンションで誕生したブルージェイズは、カナダ最大の都市トロントの経済力とファン基盤に支えられ、1992年・1993年にワールドシリーズ連覇を達成。
2025年には32年ぶりのワールドシリーズ進出を果たし、再びカナダ中を熱狂させています。
ブルージェイズの存在は、まさに北米スポーツの一体性と多様性を体現するものと言えるでしょう。
