「世界卓球2026ロンドン大会、日本女子が快進撃!」——そんなニュースを見て、ふとこう思った人も多いのではないでしょうか。
「あれ……平野美宇選手と伊藤美誠選手、いなくない?」
長年、日本女子卓球を支えてきた2人の名前が、今大会の代表メンバーにありません。
SNSでは「引退したの?」「何かあった?」と心配する声も相次いでいますが、2人とも現役選手として活躍中です。
では、なぜ選ばれなかったのか?
実はそこには、感情や好き嫌いではなく、日本卓球協会が定めた厳格なルールと、日本女子卓球界が直面している”ある変化”が深く関わっています。
この記事では、公式情報をもとにその理由をわかりやすく解説します。
まず確認|世界卓球2026の日本女子代表は誰?
「2026年世界卓球選手権ロンドン大会(団体戦)」は、2026年4月28日〜5月10日にイギリス・ロンドンで開催されています。
日本女子は準決勝でドイツを2-0で下し、決勝進出を決めるなど好調を維持しています。
日本卓球協会が2026年2月25日に公式発表した女子代表メンバーは以下の5名です。
| 選手名(所属) | 選出の根拠 |
|---|---|
| 張本美和(木下グループ) | 世界ランク日本最上位+全日本優勝 |
| 面手凛(山陽学園高校) | 国内選考会優勝 |
| 早田ひな(日本生命) | 強化本部推薦(アジア選手権出場者から) |
| 橋本帆乃香(デンソーポラリス) | 強化本部推薦(アジア選手権出場者から) |
| 長﨑美柚(木下アビエル神奈川) | 強化本部推薦 |
平野美宇選手・伊藤美誠選手の名前は、ここにありません。
「平野美宇と伊藤美誠はなぜ外れたの?」の前に知っておきたいこと
落選の理由を理解するうえで、まず知っておくべきことがあります。
それは、代表選考はすべて事前に公表されたルールに基づいて行われたという事実です。
日本卓球協会が定めた選考基準(女子)は、次の5つの枠で構成されています。
1.世界ランキング最上位者(1名):エントリー締切2週間前時点で、日本女子の世界ランクが最も高い選手
2.全日本卓球選手権優勝者(1名):2026年全日本一般の部シングルスの優勝者
3.国内選考会優勝者(1名):2026年2月の代表選考会の優勝者
4.強化本部推薦・アジア選手権枠(2名):2025年アジア卓球選手権の出場者から選出
5.強化本部推薦・その他(1名):実績・潜在能力などを総合的に判断して選出
この5つの枠に、平野選手・伊藤選手が入れなかった。それが今回の「落選」の本質です。
平野美宇が選ばれなかった理由
世界ランキングが31位まで下がっていた
選考時点(2026年2月)における平野美宇選手の世界ランキングは31位。
かつては世界4位まで上り詰めた選手ですが、現時点では日本女子の最上位(世界6位・張本美和)に大きく水をあけられており、①の枠には入れませんでした。
アジア選手権2025に出場していなかった
今回の選考で最も大きなポイントとなったのが「アジア選手権への出場経験」です。
強化本部推薦の主要2枠は「2025年アジア選手権出場者から選ぶ」という条件が付いていました。
平野選手はこの大会に出場していなかったため、この推薦枠の対象外となってしまいました。
選考会に出たが、優勝できなかった
平野選手は2026年2月の国内選考会にも出場しています。
実は選考会の直前、WTTスターコンテンダー・チェンナイ2026に出場して準優勝を果たすなど、実力は見せていました。
しかし選考会では優勝を逃し、③の枠も逃す結果となりました。
パリ五輪後の精神的な苦悩
背景にあるのは、パリオリンピック後の平野選手の苦悩です。大会が終わった後、気持ちを整理できないまま試合に臨み続けた時期があったと本人も明かしています。
2025年の世界卓球では2回戦敗退後に過呼吸を起こすなど、精神的に追い詰められた場面もありました。そういった積み重ねが、世界ランキングの下降という形で表れてしまいました。
現在26歳の平野選手は、今まさに「自分らしい卓球との向き合い方」を模索しながら前に進んでいます。
平野美宇選手の引退と結婚に関する最新情報をまとめた記事もご用意しています。よろしければこちらもあわせてお読みください👇

伊藤美誠が選ばれなかった理由
世界9位でも「最上位者枠」には入れなかった
伊藤美誠選手の世界ランキングは選考時点で9位。これは立派な成績ですが、問題は①の枠が「日本女子の最上位者1名だけ」という点です。
その1名は世界6位の張本美和選手であり、9位の伊藤選手はここに入れません。
「世界9位なのに代表に選ばれないの?」と驚く人も多いですが、これが日本女子卓球の競争の激しさを物語っています。
選考時点の日本女子選手の世界ランキングを見ると、その凄まじさがよくわかります。
| 選手名 | 世界ランキング(2026年2月時点) |
|---|---|
| 張本美和 | 6位 |
| 伊藤美誠 | 9位 |
| 早田ひな | 10位 |
| 橋本帆乃香 | 11位 |
| 大藤沙月 | 12位前後 |
世界トップ12に日本人選手が5名以上。これほどの選手層の厚さが、皮肉にも伊藤選手の落選を生む形になりました。
全日本選手権は11位に終わる
2026年の全日本選手権(一般の部)で、伊藤選手は6回戦で横井咲桜選手に敗れ11位という結果。②の枠を争う優勝(張本美和)とは、大きな差がありました。
代表選考会には出場せず
国内選考会(③の枠)については、伊藤選手は出場しませんでした。早田ひな選手や大藤沙月選手も同様に不出場で、選考会優勝の面手凛選手が③の枠を獲得しました。
アジア選手権不出場+強化本部の最終判断
④の強化本部推薦枠も、2025年アジア選手権の出場者が対象です。伊藤選手はこの大会に出場しておらず、対象外となりました。
残る⑤の推薦枠では、長﨑美柚選手が選ばれました。
出場大会を「選んでいる」戦略が選考では不利に
伊藤選手は近年、試合に出る大会を戦略的に絞っているとみられています。
体や状態を管理しながら大舞台に照準を合わせるスタイルは選手として合理的な判断ですが、ポイントを積み上げていく選考制度のもとでは、どうしても不利になる側面があります。
一方で、2026年2月のシンガポールスマッシュでは約1年7か月ぶりに中国勢を撃破する快挙を達成。中国メディアも「大魔王が帰ってきた」と報じるなど、復活の気配は十分に感じさせています。
伊藤美誠選手の引退と結婚に関する最新情報をまとめた記事もご用意しています。よろしければこちらもあわせてお読みください👇

平野・伊藤が代表から外れた本当の背景|世代交代の波
平野・伊藤両選手の代表落ちは、単に2人の調子が悪いから——ではありません。もっと大きな構造的変化が起きています。
それが、日本女子卓球の世代交代と選手層の爆発的な厚さです。
かつて「みうみま(美宇・美誠)+早田ひな」の3本柱が日本を引っ張っていた時代から、今や張本美和・面手凛・大藤沙月・木原美悠・長﨑美柚といった若手が続々と台頭し、世界ランキングを押し上げています。
今大会で主軸を担う早田ひな選手は、2人が不在であることについてこう語りました。
「寂しさはある。でもこれも時代の変化だと思っている」
(出典:スポーツブル・2026年4月)
また、中国メディアは今回の日本女子代表について「最大の焦点はイトウ(伊藤美誠)の不在だ」と報じており、2人が今なお国際的に高く評価されていることがわかります。
2人の今後|代表復帰の可能性は?
結論から言えば、2人とも代表に戻れる可能性は十分にあります。
現行の選考制度は「ポイント=数字がすべて」のルールです。感情や過去の実績ではなく、数字で判断される分、積み上げれば必ず評価される仕組みでもあります。
平野美宇選手は2026年のWTTスターコンテンダー・チェンナイで準優勝を果たすなど、確実に結果を出し始めています。現在26歳と、まだまだキャリアのピークを迎えられる年齢です。
伊藤美誠選手も、2026年5月時点で世界ランク20位以内を維持していますし、今後の選考会・国際大会での活躍次第では、代表返り咲きは十分に現実的です。
次の大きな選考機会は、2026年9月のアジア競技大会、そして2027年世界卓球選手権(個人戦)の代表選考です。
日本卓球協会はすでにその選考基準を公式サイトで公表しており(Butterfly公式ページ参照)、2人の次なる挑戦はすでに始まっています。
まとめ:平野美宇と伊藤美誠が世界卓球2026のメンバー外の理由
平野美宇選手・伊藤美誠選手が世界卓球2026に選ばれなかった理由を一覧でまとめます。
| 選考基準 | 平野美宇 | 伊藤美誠 |
|---|---|---|
| ①世界ランク最上位者 | 31位(張本が6位) | 9位(張本が6位) |
| ②全日本選手権優勝 | 優勝できず | 11位で終わる |
| ③国内選考会優勝 | 出場も優勝できず | 出場せず |
| ④強化本部推薦(アジア選手権枠) | アジア選手権2025不出場 | アジア選手権2025不出場 |
| ⑤強化本部推薦(その他) | 選外(長﨑が選出) | 選外(長﨑が選出) |
(出典:日本卓球協会公式発表 https://jtta.or.jp/news/35479)
2人の落選は「実力がないから」でも「見捨てられたから」でもありません。
日本女子卓球が世界最高レベルの争いを国内で繰り広げていること、そしてその選考基準に今回は届かなかった——それだけのことです。
むしろ、これほどの激戦をくぐり抜けた代表5名と、再挑戦に向けて歩む平野・伊藤の両選手、そのどちらも全力で応援したくなる。それが、今の日本女子卓球の一番の魅力かもしれません。
