クルド人問題を分かりやすく解説:なぜ日本に?なぜ嫌われるのか?

クルド人問題を分かりやすく解説:なぜ日本に?なぜ嫌われるのか?
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近年、埼玉県川口市を中心に「クルド人問題」という言葉が注目を集めています。

「国を持たない最大の民族」と呼ばれるクルド人が、なぜ日本にやってくるのか

そして、なぜ地域住民との軋轢や偏見が生まれているのか

この複雑な問題を理解するためには、クルド人の歴史的背景、日本の難民政策、そして実際に起こっている諸問題を客観的に把握することが重要です。

本記事では、クルド人とは何者なのかという基本的な疑問から、彼らが日本に来る理由、地域住民との間で生じている課題まで、事実に基づいて分かりやすく解説します。

偏見や憶測ではなく、正確な情報をもとに、この問題の全体像を理解していきましょう。

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目次

クルド人とは?「国を持たない最大の民族」の実態

クルド人は、主にトルコ、イラク、イラン、シリアの4カ国にまたがって暮らす民族で、総人口は3,000万~4,800万人と推定されています。

彼らは「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれ、独自の言語(クルド語)、文化、歴史を持つイラン系民族です。

クルド語はインド・ヨーロッパ語族に属し、アラビア語やトルコ語とは全く異なる言語系統を持ちます。

宗教的には大多数がイスラム教スンニ派に属していますが、アレヴィー派やヤズィーディーなどの宗教的多様性も特徴の一つです。

第一次世界大戦後のオスマン帝国崩壊時、1920年のセーヴル条約では「クルディスタン」建国の可能性が明示されました。

しかし、1923年のローザンヌ条約によってその取り決めは撤回され、クルド人は現在の4つの国家に分断される形となりました。

その結果、各国で少数民族として扱われ、長年にわたって様々な形の抑圧や弾圧を受けてきた歴史があります。

なぜクルド人は日本にやってくるのか?

母国での迫害と弾圧からの逃避

クルド人が日本に来る最大の理由は、母国トルコでの政治的迫害や弾圧から逃れるためです。

トルコ政府は長年にわたってクルド人の文化的アイデンティティを抑圧し、クルド語の使用禁止、政治活動への弾圧などを行ってきました。

2021年の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告によると、トルコ出身の難民申請者(主にクルド人)の難民認定率は、カナダで95%、アメリカで87%、英国で79%となっています。

これは国際社会がトルコでのクルド人への迫害を事実として認めていることを示しています。

日本への来日のきっかけ

クルド人が川口市に集まるきっかけは、1980年代に同地の造園業で働いていた不法滞在のイラン人だと言われています。

その中にクルド人も含まれており、その人物を頼って1990年代からクルド人が来日するようになりました。

親族や友人を頼って数多くのクルド人が来日し、徐々にコミュニティが形成されていったのです。

東京に近く、家賃などの生活費が比較的安いこと、先に来日した親族らを頼ることができることなどから、川口市周辺が国内最大のクルド人集住地になりました。

現在、埼玉県南部に約2,000人のクルド人が暮らしているとされています。

日本での生活への希望

興味深いことに、自国ではクルド人としてのアイデンティティを剥奪されていましたが、日本ではクルド人として暮らすことができます。

長年禁止されていたクルド人の祭りも日本なら開催できるため、クルド人から喜びの声が上がっているという報告もあります。

日本の難民認定制度の厳しさ

極めて低い難民認定率

日本の難民認定制度は、他国に比べて非常に厳しいとされています。

2023年の日本の難民認定率は3.8%でしたが、日本政府関係者が多いアフガニスタン人を除くと認定率は1%にも満たない状況です。

特にトルコ国籍のクルド人については、日本で難民として認定された人は、2022年に札幌高裁の勝訴判決を受けて認定された、たった1人だけ。

これまで数千人のトルコ国籍のクルド人が難民申請を行ってきましたが、それ以外の人は全て不認定となっています。

仮放免制度の問題

難民申請が却下されても、クルド人の多くは仮放免という不安定な立場で生活を続けています。

仮放免中は就労が制限され、健康保険への加入もできず、住民票も持てない状況が続きます。

正規の在留資格がないため住民税も払えず、何人住んでいるかも正確には分からない状態が続いており、これが様々な社会問題の根源となっています。

なぜクルド人が嫌われるのか?生じている問題と誤解

実際に発生している問題

埼玉県川口市や蕨市では、クルド人と日本人住民の間で具体的なトラブルが報告されています。

主な問題として、集会やデモによる騒音問題、交通ルールや駐車に関する違反、ゴミ出しのルール違反などが挙げられています。

2023年7月には川口市立医療センター前で約100人のクルド人による騒動が発生しました。

これは4日に発生したクルド人同士の殺人未遂事件が引き金となったもので、救急外来の入り口を無理にこじ開けようとしたり、大声を出すなどの行為により、病院が救急搬送受入を全面停止する事態となりました。

文化的な違いによる摩擦

これらのトラブルの多くは、文化や生活習慣の違いによるものとされています。

日本の厳格なゴミの分別や、交通ルール、騒音に対する感覚などに不慣れなため、地域住民との対立が生じているのです。

また、クルド人の文化的背景はイスラム教に基づく生活習慣や強い家族・コミュニティ意識があり、これが日本の地域社会の慣習と衝突することもあります。

SNSによる誤情報とヘイトの拡散

2023年春頃からSNSを中心にクルド人へのヘイトスピーチが目立ち始めました。

しかし、重要なのは「ヘイトをしている多くの人は地元の人ではない」という点です。

実際に嫌がらせ電話をかけてくる人に尋ねたところ、関西や東海地方などに住む人だったという報告もあります。

地元川口市の関係者によると「SNS等で拡散されている情報の中には、誇張されたものもある一方で、地域住民の不安が現実のものであることも事実」とされています。

クルド人の日本社会への貢献と共生への努力

経済的貢献

クルド人の多くが地域の解体業界の成長に貢献しています。

建設業界における人手不足を背景に、クルド人が解体業に従事することで、日本の社会インフラを支える役割を果たしているのです。

解体業は建設業界における人手不足を背景に、外国人労働者が求められているため、クルド人にとって生活を支える貴重な手段となっています。

ただし、不法就労や安全基準の問題も指摘されており、適切な制度整備が求められているのが現状です。

災害支援やボランティア活動

クルド人の有志らは日本に溶け込もうと様々な努力を続けてきました。

東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)の際には、がれき撤去などのボランティアに駆けつけました。2024年の能登半島地震でも、現地で炊き出しを行っています。

あるクルド人男性は「トルコも地震が多いけど、いつも日本人が助けに来てくれる。恩返しのつもり」と語っており、日本への感謝の気持ちを示しています。

地域との共生への取り組み

日本の生活ルールを教え、共生を進めるために、有志が蕨駅前などで夜の巡回やゴミ拾いを定期的に続けています。また、クルド人への日本語教室も毎週開催されており、日本人ボランティアが大学生や会社員として参加し、言語だけでなく文化交流の場ともなっています。

政府の対応と今後の展望

入管法改正による影響

2024年6月に改正入管法が施行され、難民申請を3回以上行っている外国人については、特別な理由がない限り強制送還が可能となりました。2025年7月には、実際に埼玉県川口市のクルド人男性がトルコに強制送還されました。

政府は「不法滞在者ゼロプラン」を策定し、難民審査期間を2026年までに6ヶ月以内へ短縮、送還支援も2027年までに倍増予定としています。

制度改善への取り組み

日本版電子渡航認証制度(JESTA)の導入加速により、入国者の適切なスクリーニングを行い、トルコからの難民申請総数を抑制する方針が示されています。

また、在留特別許可に係るガイドラインでは、相当期間日本の初等中等教育を受けている子どもとその親に在留許可のチャンスが示されており、一定の改善が図られています。

共生社会への道筋

現在の日本の経済状況は製造業、介護、大学の研究現場など、外国人なしには成り立たない現状があります。そのため、日本人も外国人も安心して共生できる社会制度をどう作るかが重要とされています。

地方自治体や地域に丸投げをするのではなく、国が責任を持って共生社会の基盤を築くことが、日本人・外国人双方の安心につながるという指摘もあります。

支援団体の活動と日本人の関わり

ヘイトが激しくなってから逆に支援の輪に加わる日本人も出てきています。日本人ボランティアによる日本語教室では、「ネットの情報だけじゃなく、直接会って話してみたい」として、この1年で参加する人が増えています。

クルド人が行う夜の巡回に参加した地元の女性は「15年間暮らして、クルドの人に嫌な思いをさせられたことはない。日本人に理解してもらおうと地道に努力しているクルドの人たちがいることを知ってほしい」と語っています。

まとめ:クルド人問題を分かりやすく解説

クルド人問題は、単純な「外国人問題」として片付けることのできない複雑な構造を持っています。

彼らの多くは母国での迫害から逃れてきた難民でありながら、日本の厳しい難民認定制度により不安定な立場に置かれていると言えるでしょう。

この問題の根本には、日本の難民政策の不備と、急激な多文化共生への対応の遅れがあります。

一方で、文化的な違いから生じる地域住民との摩擦や、一部での問題行動が存在するのも現実です。

重要なのは、偏見や憶測に基づく判断ではなく、事実に基づいた理解と対話。

クルド人の中には日本社会に溶け込もうと努力している人々が多数いる一方で、制度の谷間で苦しんでいる現実もあります。

今後求められるのは、排除ではなく包摂のための政策と、相互理解に基づく地域レベルでの共生への取り組みです。

とても難しい問題ですが、日本が真の多文化共生社会を目指すなら、この問題に正面から向き合い、建設的な解決策を見つけていくことが不可欠でしょう。

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