高校野球界に歴史的な変革の波が訪れています。2026年春の第98回選抜高校野球大会から、ついに指名打者(DH)制が導入される見通しとなりました。
これは高校野球の公式戦で初めてのDH制採用となり、投手が打席に立つという100年以上続いた伝統に転換点をもたらす画期的な制度改革です。
本記事では、
高校野球のDH制はいつから?なぜ導入されるのか理由・目的を解説!
と題しまして、この話題について深掘りしていきます。
高校野球にDH制が導入されるまでの流れ
■DH制導入の検討開始から決定まで
■DH制導入正式決定のプロセス
■DH制導入時期の詳細
DH制導入の検討開始から決定まで
高校野球におけるDH制導入の検討は、2025年1月に日本高等学校野球連盟(高野連)が設置した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」で本格的に始まりました。
この会議は、高野連の宝馨会長やU18高校日本代表監督の小倉全由氏ら15人で構成され、7回制やリプレー検証の導入とともにDH制についても議論を重ねてきました。
DH制導入正式決定のプロセス
2025年7月29日、来春の第98回選抜高校野球大会からDH制を導入する見通しであることが明らかになりました。
8月1日の理事会で正式に諮られる予定で、関係者によると反対意見は少ないとされており、承認される可能性が高いとされています。
DH制導入時期の詳細
当初は2025年秋の大会からの導入も検討されましたが、ルールの周知や各校が対応する時間を確保するため、今秋の実施は見送られ、2026年春のセンバツからの導入が濃厚となっています。
これにより、全国の高校が新制度に適応するための準備期間が確保されることになります。
高校野球にDH制を導入する理由と目的
■投手の負担軽減
■選手の出場機会拡大
■国際標準化への対応
投手の負担軽減
DH制導入の最も重要な理由は、投手の身体的負担を軽減することです。
近年の高校野球では、夏の猛暑問題が深刻化しており、投手がグラウンドで最も熱中症リスクが高いポジションとされています。
その投手が攻撃時に走塁や打撃を行うことで体力を消耗し、その後の投球に悪影響を与える可能性が指摘されているのです。
投手の負担軽減は、すでに球数制限(1週間500球以内)や延長戦のタイブレイク制導入など、様々な形で進められており、DH制はその延長線上にある高校野球のルール改革として位置づけられています。
選手の出場機会拡大
DH制の導入により、これまで守備力の不足で出場機会に恵まれなかった打撃特化型の選手にもチャンスが生まれます。
健大高崎の青柳博文監督は「守備は苦手だが打撃が上手い選手や、怪我などで守備はできないが打撃ならできる選手を起用できる」として、選手起用の幅が広がることを評価しています。
また、部員数の少ない学校でも一芸に秀でた選手を有効活用できる可能性が生まれ、チーム力の底上げにつながると期待されています。
国際標準化への対応
国際大会では既にDH制が標準となっており、高校生が国際大会に出場する際のギャップを解消する必要性が指摘されています。
U18ワールドベースボールクラシックをはじめとする国際大会では、DH制が採用されており、日本の高校生が慣れない制度で戦うことによるハンディキャップが課題となっていました。
明徳義塾の馬淵史郎監督は、U18日本代表の指導経験から「7イニング制よりもDH制の方を先にすべき」と提言し、国際大会での適応の重要性を強調しています。
高校野球のDH制導入によるメリット
■戦術の多様化
■投手の故障予防
■試合の質的向上
戦術の多様化
DH制の導入により、監督の戦術選択肢が大幅に拡大します。
従来は投手の打撃能力に頼るしかなかった局面でも、打撃専門の選手を活用できるようになり、より柔軟な試合運営が可能になります。
とくに「大谷ルール」の適用により、投手が降板後もDHとして試合に残り続けることができるため、二刀流選手の活用がより効果的になると期待されています。
投手の故障予防
バント時の指への負傷リスクや、走塁時の怪我のリスクを軽減できることも重要なメリットです。
健大高崎・青柳監督は「バントでは指に投球を当てて骨折する危険性がある」と指摘し、実際に名門校のエースがバント時に指を骨折した事例が複数発生していることを明かしています。
試合の質的向上
打撃に特化した選手の出場により、得点力が向上し、より魅力的な試合展開が期待できます。
昨春から導入された低反発バットの影響で本塁打を含む長打が激減している現状において、DH制による攻撃力の向上は観戦価値の向上にもつながると考えられています。
高校野球のDH制導入への懸念とデメリット
■格差拡大の問題
■高校野球らしさの変化
■指導体制への影響
格差拡大の問題
DH制導入に対する最大の懸念は、強豪校と一般校の格差がさらに拡大する可能性です。
選手層の厚い強豪校では、DH制によってより多くの有力選手を同時に出場させることができる一方、部員数の限られる学校では恩恵を受けにくいという指摘があります。
東洋大姫路の岡田龍生監督は「DH制導入は賛成だが、強豪校との実力差がさらに広がる懸念がある」と率直な意見を述べています。
高校野球らしさの変化
従来の高校野球では「全員が攻守に関わる」ことが理想とされてきました。
ですが、DH制の導入により、専門性が高まる一方で、高校野球固有の価値観との摩擦が生じる可能性も指摘されています。
指導体制への影響
DH制の導入により、チーム作りやメンバー選考の考え方が大きく変わることが予想されます。
これまで「走攻守」すべてに対応できる選手を重視してきた指導方針を見直す必要があり、指導者の意識改革も求められています。
野球界全体でのDH制採用状況
■アマチュア野球での広がり
■国際的な潮流
アマチュア野球での広がり
大学野球では、東京六大学連盟と関西学生野球連盟が2026年からDH制導入を決定し、これにより全国大学野球の全27連盟がDH制を採用することになります。
社会人野球でも都市対抗野球大会、日本選手権大会で既に採用されており、高校生以上のカテゴリーでは、プロ野球のセ・リーグを除いてほぼすべてでDH制が採用されることになります。
国際的な潮流
MLBでは1973年にアメリカンリーグで導入され、2022年からはナショナルリーグでも採用されています。
韓国、台湾のプロ野球でも既にDH制が標準となっており、高校野球のDH制導入は世界的な野球の潮流に合わせる動きとして捉えることができます。
DH制に対する高校野球現場指導者の反応
■賛成派の声
■慎重派の意見
賛成派の声
大阪桐蔭の西谷浩一監督は「選手に可能性が広がり、多様性を持って戦える。現場としてはありがたい」と歓迎の意を表明。
また、明徳義塾の馬淵史郎監督は「大賛成。夏場は投手が大変なので、練習試合では3分の1くらいはDH制でやっている」とDH制を支持する姿勢を見せています。
慎重派の意見
一方で、広陵の中井哲之監督は「歴史や文化がある中で改善するのはプラスになるが、問題点があれば話し合いを続けていくべき」として、導入後の検証の重要性を指摘しています。
DH制の具体的なルール
■基本的なルール
■大谷ルール
基本的なルール
DH制では、投手に代わって打撃専門の選手(指名打者)が打席に立ちます。指名打者は守備に就く必要がなく、攻撃のみに専念することができます。ただし、チームは必ずしもDH制を使用する義務はなく、従来通り9人で試合を行うことも可能です。
大谷ルール
現在検討されているDH制では、いわゆる「大谷ルール」の適用が有力視されています。これは先発投手がDHを兼任し、投手として降板した後もDHとして打線に残り続けることができる制度です。この制度により、投打に優れた選手がより長時間試合に貢献できるようになります。
高校野球のDH制導入:今後の展望
■夏の甲子園への拡大
■7回制との関係
■NPB セ・リーグへの影響
夏の甲子園への拡大
2026年春のセンバツでDH制が導入された場合、その結果を検証した上で、夏の全国高等学校野球選手権大会への拡大も検討される可能性があります。
ただし、伝統を重視する声も強く、段階的な導入が予想されます。
7回制との関係
DH制の導入は、7回制導入の議論とは切り離して検討されています。
7回制については、2025年9月の国民スポーツ大会で試験的に導入される予定で、その結果を踏まえて今後の方針が決定される見込みです。
NPB セ・リーグへの影響
高校野球でDH制が導入されることで、プロ野球セ・リーグの「ガラパゴス化」がより鮮明になる可能性があります。
野球界全体の流れとして、セ・リーグでのDH制導入議論にも影響を与える可能性があります。
まとめ:高校野球のDH制はいつから?導入の目的を解説
高校野球のDH制導入は、2026年春のセンバツから始まる歴史的な制度改革です。
投手の負担軽減、選手の出場機会拡大、国際標準化への対応という明確な目的のもと、長年の検討を経て実現に向かっています。
一方で、格差拡大への懸念や高校野球らしさの変化への不安も存在し、導入後の運用と検証が重要となりそうです。
いずれにせよ、DH制の導入により、高校野球は新たな時代を迎えることになります。
選手の健康と安全を最優先としながら、競技の魅力を維持・向上させるバランスが今後の課題となるでしょう。
この改革が高校野球のさらなる発展につながることが期待されています。
