ヒグマの生息地は北海道だけ?本州にはいないのか調査&解説

ヒグマの生息地は北海道だけ?本州にはいないのか調査&解説

日本でヒグマに遭遇する可能性があるのはどこ?」この疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。

日本には2種類のクマ、ヒグマとツキノワグマが生息していますが、現在ヒグマが生息するのは北海道のみです。

しかし実は、遠い昔の日本では本州にもヒグマが存在していました。

この記事では、

ヒグマの生息地は北海道だけ?本州にはいないのか調査&解説

と題しまして、ヒグマの現在の生息地から過去の分布、そして本州にいない理由まで、最新の研究データを基に詳しく解説します。

目次

現在のヒグマ分布は北海道限定

ヒグマは現在、日本では北海道にのみ生息しています。

環境省の調査によると、北海道の約55%の地域にヒグマが分布しており、これは道内のほぼ全域に相当します。

一方、本州から九州にかけてはツキノワグマが生息しており、千葉県を除く本州と四国の約45%の地域で確認されています。

この明確な棲み分けは、津軽海峡を境界線とする「ブラキストン線」という生物地理学的境界によるものです。

エゾヒグマの生息状況

北海道のヒグマは正式には「エゾヒグマ」と呼ばれ、日本に生息する陸上動物としては最大の種です。

2023年末時点での推定個体数は約11,661頭で、1991年の統計開始以来初めて前年比で減少しました。これは捕獲数の増加が要因とされ、2023年度の捕獲数は過去最多の1,804頭に達しています。

北海道のヒグマは生息域によって5つの地域個体群に分けられています:

• 道南(渡島半島)

• 積丹・恵庭

• 天塩・増毛

• 道東・宗谷

• 日高・夕張

このうち天塩・増毛地方および積丹・恵庭地方の個体群は、孤立して生息数が少ないため、環境省のレッドリストで「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。

本州にかつて生息していた巨大ヒグマ

意外にも、過去には本州でもヒグマが生息していました。

国立科学博物館などの最新研究により、本州のヒグマ化石から古代DNAの抽出に初めて成功し、その詳細が明らかになりました。

本州ヒグマの特徴

化石の年代測定により、本州のヒグマは3万2,500年前と1万9,300年前(後期更新世)に生息していた個体であることが判明しています。

興味深いことに、本州のヒグマは現在の北海道の個体よりも遙かに大きかったことが分かっています。

古代DNA解析の結果、本州のヒグマは現生のヒグマとは独立した集団で、その姉妹系統が現在の北海道南部のグループであり、分岐したのは約16万年前とされています。

複数回の渡来歴史

研究により、ヒグマがユーラシア大陸から本州に少なくとも2回渡来していたことが明らかになりました。

●1回目の渡来:34万年以上前に分岐していた系統

●2回目の渡来:約14万年前の寒冷期に起こった海面低下に伴って北海道を経由して本州に移動

これは度重なる氷期の海面低下により、これまで考えられていたよりも頻繁に大型哺乳類が移動していたことを示す重要な発見です。

なぜ本州のヒグマは絶滅したのか

本州のヒグマが絶滅した理由は複雑で、複数の要因が重なったと考えられています。

絶滅した主な要因

気候変動による環境変化が最も大きな要因とされています。

後期更新世の最終氷期以降の温暖化によって本州の植生が変化し、ヒグマの獲物となる大型植物食哺乳類(オオツノジカやバイソン、オーロックス)などが絶滅した影響を受けたとのこと。

もう一つの要因は競争によるものです。一部の研究では、ツキノワグマとの生存競争に敗れた可能性も示唆されています。

ツキノワグマの方が広葉樹林などの環境変化に適応しやすく、同じ生態的地位を巡る競争でヒグマが劣勢になった可能性があるのです。

また、ヒトの渡来も絶滅要因として考えられていますが、これについては学術的な論争が続いています。

ヒグマが北海道のみ生息に関するブラキストン線と海峡の深さの重要性

現在、ヒグマが北海道にのみ生息し、本州にツキノワグマが生息する分布パターンは、津軽海峡のブラキストン線によって決定されています。

津軽海峡の水深は約140メートルあり、最終氷期の海面低下時でも陸化しませんでした。

一方、宗谷海峡や間宮海峡は水深が浅く(45-50メートル、10メートル程度)、氷期には陸化してユーラシア大陸から動物の移動が可能でした。

この地理的条件により、ヒグマは北海道までは到達できても本州への移住は困難となり、現在の分布境界が形成されたと考えられています。

北海道のヒグマ:現在の保護管理体制

北海道での管理方針

北海道では、ヒグマによる被害を防ぐため積極的な個体数管理を実施。

2025年から2034年までの10年間で約12,540頭の捕獲を目標とし、適正個体数への調整を図っています。

地域をゾーニングして管理しており、以下の区分で対応方針を決定しています:

• 排除地域:市街地や農地での積極的駆除

• 防除地域:被害防止対策の実施

• コア生息地:保護管理の実施

• 緩衝帯:人とクマの緩衝エリア

最新のヒグマ出没状況

2025年に入ってからも北海道各地でヒグマの目撃情報が相次いでいます。

特に、春から夏にかけて活動が活発化し、道路横断や採草地での目撃が多数報告され、人が襲われる痛ましい案件も発生している状況です。

これらの情報は各自治体が公開しており、住民への注意喚起や看板設置などの対策が実施されています。

他県への影響と全国的な動向

本州のツキノワグマについても、近年は分布域の拡大と個体数の増加が確認されています。

環境省の調査では、四国を除く全ての地域で分布域の拡大が認められており、人里近くでの出没が増加しているのが現状。

2024年時点で出没件数が1万件を超え、首都圏近郊でも多くの目撃情報が報告されています。

これは全国的な野生動物管理の課題となっており、ヒグマ問題と同様の対策が求められている状況です。

まとめ:ヒグマの生息地は北海道だけで本州にはいないのか

ヒグマの生息地は現在の日本では北海道のみに限定されており、本州にヒグマは存在しません。

しかし過去には本州にも巨大なヒグマが生息しており、複数回の渡来歴史を持っていました。

本州のヒグマが絶滅した主な原因は気候変動による環境変化で、津軽海峡のブラキストン線が現在の分布境界を決定しています。

北海道では約11,661頭のエゾヒグマが生息しており、適正な個体数管理を実施中。

人間と野生動物との共存は全国的な課題となっており、科学的根拠に基づいた保護・管理の継続が重要です。

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