「四国に熊はいるの?」という疑問をお持ちではないでしょうか。
じつは、四国にはツキノワグマが生息していますが、その数は極めて少なく、絶滅の危機に瀕している状態です。
本記事では、四国のツキノワグマの生息状況、目撃情報、出没地域、そして登山やアウトドア活動時の注意点について、2025年10月時点の最新情報をもとに詳しく解説します。
九州では既に絶滅したとされる中、四国のツキノワグマは貴重な存在として保護活動が進められています。
四国にツキノワグマは生息している

結論から言うと、四国にはツキノワグマが生息しています。
しかし、その個体数は非常に少なく、絶滅寸前の状態にあります。
四国は世界で最も小さなツキノワグマの生息地であり、「アイランドベア(島熊)」と呼ばれています。
世界的にも島に生息するクマは非常に稀で、ツキノワグマでは日本の四国と台湾、中国の海南島に限られています。
環境省のレッドリスト2020では、四国のツキノワグマは「絶滅のおそれのある地域個体群」として指定されています。
2017年時点では16頭から24頭と推定されていましたが、2024年度の最新調査では少なくとも26頭が識別され、親子が4組確認されました。
個体数が少ない中でも繁殖が行われていることは、希望の持てる情報といえるでしょう。
四国のツキノワグマの生息地域
四国のツキノワグマが生息しているのは、徳島県と高知県の県境にまたがる剣山山系及びその周辺地域のみです。
具体的には、徳島県の三好市、美馬市、つるぎ町、那賀町、および高知県の香美市などの山岳地帯で目撃や痕跡が確認されています。
標高1,000メートル以上のブナやミズナラなどの広葉樹が残る森林に生息しており、特に剣山(標高1,955メートル)や三嶺(標高1,894メートル)周辺が主要な生息域となっています。
2024年度の調査では、34か所83地点にセンサーカメラを設置し、そのうち19か所(徳島県12か所、高知県7か所)でツキノワグマが確認されました。
香川県と愛媛県では、現在ほとんど生息が確認されていません。
とくに愛媛県では1972年(昭和47年)に小田町(現在の内子町)で捕獲されたのが最後の記録とされています。
70年前には石鎚山系から宇和島付近まで広い範囲に生息していましたが、現在ではその姿は見られません。
四国の熊(クマ)最新の目撃・出没情報(2025年)
2025年度も四国では複数のツキノワグマ目撃情報が報告されています。
四国森林管理局によると、以下のような目撃情報がありました。
2025年の主な目撃情報として、6月27日と6月28日に高知県香美市の国有林で痕跡が確認されました。
また、6月28日には徳島県つるぎ町の国有林でも痕跡が発見されています。
7月13日には徳島県那賀町の国有林付近、7月16日には徳島県三好市の国有林で目撃されました。
さらに、8月13日にも徳島県三好市の国有林において、三嶺登山中に登山道にあるブナの木に高さ1.5から2.0メートルほどの位置に獣の爪痕が発見され、ツキノワグマのものと判断されています。
10月には徳島県美馬市木屋平川上でくくり罠にツキノワグマ1頭が錯誤捕獲され、同日夕方に放獣されました。
これらの目撃情報から、剣山山系とその周辺で継続的にツキノワグマの活動が確認されていることがわかります。
四国の熊(ツキノワグマ)はなぜ絶滅寸前なのか
四国でツキノワグマの個体数が激減した主な原因は、活発な林業によるツキノワグマの生息に適した落葉広葉樹林の減少にあります。
戦後、木材需要の高まりに対応するため、拡大造林が盛んに行われ、スギやヒノキの人工林が広がりました。
四国の山々は頂上付近まで人工林が広がっており、こうした森林は食物が少なく、クマの生息には適していないと考えられています。
ツキノワグマの主食となる秋のドングリ(ブナやミズナラなどの堅果類)を実らせる広葉樹林が減少したことで、冬眠に必要な栄養を蓄えることが困難になったのです。
人工林ではクマが冬眠する際のエネルギー源となるドングリが実らないため、生息できる環境が大幅に縮小しました。
また、四国は島であるため、一度個体数が減少すると外部から個体が供給されることは見込めません。
九州でも同様の理由でツキノワグマは絶滅したと考えられており、四国も同じ運命をたどる可能性があります。
現在では剣山系のブナ・ミズナラを主体とする標高1,000メートル以上の冷温帯林にわずかに残る、実り豊かな広葉樹の森でひっそりと暮らしているのです。
ツキノワグマの生態と行動パターン

四国のツキノワグマを理解するために、その生態について知っておきましょう。
ツキノワグマは植物を主食とした雑食性の動物で、季節によって食べ物を変えて生活しています。
春には色々な植物の新芽、若葉、花など、前年のドングリやシカなどの死体。
夏にはイチゴの仲間やサクラ類の果実、ハチやアリ等の社会性昆虫。
秋にはブナやミズナラのドングリやミズキ、ヤマブドウなどの様々な果実をひたすら食べて、冬眠に備えてエネルギーを蓄えます。
基本的に、冬眠は12月から翌年4月頃まで続き、妊娠しているメスは冬眠中の1月から2月頃に出産します。
ツキノワグマは人間よりもはるかに優れた聴覚と嗅覚を持ち、運動能力も抜群です。
走る速度は人間よりずっと速く、100メートルを7秒台で走ると言われています。
また、木登りや水泳が得意で、学習能力も高いです。
人間の食べ物の味を覚えると執着する傾向があるため、山中でのゴミの管理が重要になります。
登山やアウトドア活動時の熊対策
四国の山々、特に剣山や三嶺に登山する際には、ツキノワグマとの遭遇に備えた対策が必要です。
高知県や徳島県の行政機関も注意喚起を行っています。
クマに出会わないための対策
クマに出会わないための対策として、まず音で自分の存在を知らせることが重要です。
一人での入山や山菜採りはツキノワグマに遭遇する危険度が増すため、なるべく複数人で入山し、熊鈴を付けるなどして音でクマにこちらの存在を知らせましょう。
熊鈴は歩くたびに音が鳴り、クマに登山者の存在を知らせてくれます。
ただし、熊鈴だけに頼らず、見通しの悪い場所では手を叩く、声を出すなどの工夫も必要です。
とくに早朝や夕方はクマが活発に活動する時間帯なので、細心の注意を払いましょう。
沢沿いや風の強い日は鈴の音がかき消されやすくなるため、電子ホイッスルやベアホーンを併用するのが現実的です。
クマの痕跡を発見した場合
クマの痕跡を発見した場合は、近くにクマがいる可能性が高いため、すぐに引き返しましょう。糞や足跡、爪痕などの新しい痕跡を見つけた際は要注意です。また、登山前には自治体のホームページなどでクマの目撃情報を確認することも大切です。
クマに出会ってしまったら
もしクマに出会ってしまったら、まず落ち着いて行動することが重要です。
遠くにクマを見つけた場合は、静かにその場を立ち去りましょう。クマがこちらに気づいた場合、ほとんどのケースではクマ自身が立ち去ります。
クマが近づいてきた場合は、クマの動きに注意しながら、ゆっくりと後退してください。
走って逃げることは絶対に避けるべきです。クマの走る速さは人間よりずっと速く、逃げるものを追いかける習性があります。
大声や投石もクマを刺激して危険なので控えましょう。
子グマを見かけた場合は特に注意が必要です。子グマのそばには必ず親グマがいるため、近づくと危険です。落ち着いてその場を離れることが大切です。
食べ物とゴミの管理
食べ物とゴミの管理も重要な対策です。
残飯や生ゴミはクマのエサになり、味を覚えると人に近づくようになります。
ゴミは放置せず、必ず持ち帰りましょう。
キャンプなどの際には、食べ物をしっかりと保管し、クマの餌になりうる物を残らず片づけることも忘れずに行いましょう。
四国のツキノワグマ保護活動
四国のツキノワグマを絶滅から守るため、様々な保護活動が行われています。
四国森林管理局、中国四国地方環境事務所、四国自然史科学研究センターでは、2014年度から「はしっこプロジェクト」と名付けた調査を連携して実施。
この調査では、センサーカメラによる生息状況のモニタリングや、捕獲したクマにGPS発信機をつけて行動範囲を追跡するなどの取り組みが行われています。
また、DNA解析による血縁関係の調査も実施され、個体数推定に役立てられています。
日本自然保護協会(NACS-J)や日本クマネットワーク、WWFジャパンなどの団体も四国のツキノワグマの保全活動に取り組んでいます。
これらの団体は、クマの生息地の保全だけでなく、地域住民や登山者への啓発活動、シンポジウムの開催なども行っています。
生息地保全の取り組みとして、ブナやミズナラ等の植栽活動も進められています。
剣山系はニホンジカの食害によって下草が無い状況にあるため、植栽した木を柵で覆う工夫もされています。
四国のツキノワグマは、森を形成する上で種子散布者として大切な役割を果たしており、豊かな森を次世代に繋いでいくためにも保全対策が重要なのです。
国指定剣山山系鳥獣保護区(11,817ヘクタール)では、クマタカ等の猛禽類やツキノワグマ等行動圏が広域に及ぶ大型鳥獣を始めとし、当該区域に生息する多様な野生動物の保護が図られています。
四国全域では1994年から狩猟が禁止され、保護が図られてきました。
2025年現在、北日本を中心に日本各地で熊の出没が激増し、人身被害も相次いでいます。
そこも踏まえて、これからの四国の熊への向き合い方にも注目が集まるところです。
九州では既に絶滅したツキノワグマ
参考として、九州のツキノワグマの状況についても触れておきます。
九州では現在、野生のクマは既に絶滅したとされています。環境省は2012年に九州のツキノワグマに対して絶滅宣言を出しました。
九州でのクマの絶滅は、森林伐採や生息環境の変化、狩猟の圧力が主な要因とされています。
九州の山はそれぞれが分断されており、広い面積を生息地とするクマが生きにくいことも関係があると考えられているのです。
また、人工林が非常に多く、クマが冬眠をする際のエネルギー源になるドングリが実らないため、生きていけないのではないかと分析されています。
まとめ:四国に熊(クマ)はいる?いない?生息地・目撃・出没情報
四国には確かに熊(ツキノワグマ)が生息していますが、その個体数は26頭程度と極めて少ないです。
生息地は徳島県と高知県の県境にまたがる剣山山系及びその周辺地域に限定されており、特に標高1,000メートル以上の広葉樹林に生息しています。
少ないながらも、2025年現在も目撃情報が続いていてる状況です。
剣山や三嶺などの山域に登山する際には、
熊鈴を携帯し音で存在を知らせること、
複数人で行動すること、
ゴミを持ち帰ること、
などの基本的な熊対策を徹底しましょう。
今後も四国の熊(クマ)事情と最新情報に注目です。
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